【8】明朗は健康の父、愛和は幸福の母(明朗愛和)
一人の明朗な心境は、その人の肉体健康の元であり、家庭健康の中心であり、事業健康の根源である。
うち沈んだ、暗い、よわよわしい心の持主は、きっと体が弱い。
病弱の人が一人でもあると、その家庭は梅雨時のようにじめじめする。
そうした家に住む人は心がにぶる。張りをなくし、気おくれする。
決断力がにぶる。何をしてもうまく行かないのが当然である。
明朗の心、1日も1分も曇らしてはならぬのは、人の心である。
朝はほがらかに起き、昼はほがらかに働き、夜はほがらかに休む。
昨日も明るく、今日も明るく、明日も明るい。
家の中も、工場も役所も、電車も汽車も、朗らかに明るく、そして町が、国が、地上が、春のように朗らかに、秋のように明るく、健康に伸びる、実る、栄える。
真に正しい事とは、まず己が救われ、それと一緒に人が救われることでなくてはならぬ。
明朗こそ、まず己が救われるともしびであり、己のかかげたこの燈火で、人もまた救われる。
そして世の中が光明にかがやいて来る。
朗らかな人の心は、世のくもりを照らす光である。
明朗は、万善のもとであり、健康の朝光である
人を生み、育て、やしなう、これは親の愛である。
家庭をつくり、社会をいとなみ、人の世の幸福と文化を生み出すもとは、人の愛である。
- 「親切は社会と社会をつなぎ合わせる金の鎖である。」(ゲーテ)
- 「愛と信頼とは万人の心霊にとって唯一の母乳である。」(ラスキン)
愛の乳は、出しても尽きる時がない。
いや、出せば出すほど、よいものが多量に出る。
愛のパンは、いくら分けてもなくなることがない。
分ければ分けるほど、かさが増えて、余りができる。
愛は母乳の如く、与えぬと涸れてしまう。
井戸水のように、汲まぬとくさってしまう。
無尽蔵とは愛の倉につけた名であろう。
この愛によって、すべてのものが、それぞれの個性のままに、育ち栄える。
愛にみちあふれて、皆がその所を得た有様を和という。
いっぱいにたたえた姿、欠けた所がない、うらみも、そねみも、争いもない、みち足りた喜び、これが和である。
自然は調和の姿である。宇宙は大和の相である。
春の花、夏の栄え、秋の実り、冬の充実、ひとつとして和の姿ではないものはない。
愛和は本と末、原因と結果の関係が愛によって和を得た相、和のもとは愛である。
そしてこの愛和は、すべての幸福のもとである。
親子夫婦のたてよこ十字の愛和は、家庭の幸福のもとであり、親子、長幼の縦の敬慈、すべての人の横の愛和、協力が、社会一切の幸福を生み出す。
- 「おのれの如く汝の隣を愛すべし。」(「マタイ伝」)
- 「仇を愛し汝等を責むる者のために祈れ。」(「マタイ伝」)
- 「すべて分れ争う国は亡び、分れ争う町また家はたたず。」(「マタイ伝」)
- 「愛は悪に対する唯一の武器である。」(ガンジー)
愛は万物を産み育て、和は万事を結実成就させる。