新卒入社した証券会社で、新規開拓営業に打ち込んだ話し
4年間通った大学を卒業して
新卒として入ったのは、証券会社でした。
理由は色々あったけれど、「自己成長」が大きなテーマです。
証券会社の営業は厳しい、だからこそ自分を成長させることができる。
そんな期待を胸に抱いていました。
研修もそこそこに、私はとある小さな支店に配属されます。
そこでは、教育係の先輩社員が1人つきました。
いきなり、「近隣を訪問してこい」と言われます。
覚悟していたものの、実際にやってみるとやはり心にきました。
新規開拓営業では、一軒ずつインターホンを鳴らしていくのですが、留守であることが大半です。
運よく応答されても、名乗った時点で冷たく断られます。
そうして目に入る建物という建物に飛び込み、
小さな裏道1本まで逃さずエリアを網羅します。
1日中、何百軒と駆け回って成果が全く出ない、ということも少なくありません。
何件も何件も、断られ続けます。
時には厳しい怒号だって浴びます。
「2度と来るな」と怒られた先には、地図上にバツ印をつけます。
バツ印はだんだん増えていきます。
バツ印一歩手前の、恐い先も増えてきました。
日に日に訪問できる所が少なくなって、1日に2回、同じ家のインターホンを鳴らすことが多くなっていきます。
しまいには、「どうか出ないでほしい。居留守を使ってほしい」とまで思うようになっていきます。
人に拒絶されるということは、辛いものです。
いくら覚悟していたとしても、面と向かって断られ続けると、まるで自分のことを否定されたかのように感じてしまいます。
自分は何の価値もない人間なんだ、と落ち込むことが増えました。
ついに、心が。。。
私は、入社前の期待が早くも打ち砕かれ、心が折れそうになっていました。
そんな時です。ある日、支店に電話で問い合わせがありました。
「いつも訪問してくる女の子、いますか?」
私はびっくりしました。
それは、インターホンを押してもいつも応答がなかった、古い一軒家の住人でした。
その人は、私が毎日、周辺を歩き回っていることを知っていたのです。
震える手で口座開設用紙を受け取ったことを、今でも鮮明に覚えています。
成果が出る瞬間
その人には、何年も続けて取引をいただき、大変お世話になりました。
未熟な新入社員である私の話に、長いことつきあってくれました。
つたない営業話にも、毎回あいづちを打ってくれました。
私が成長できたのは、そのお客様がいてくださったからで、今でも感謝しています。
苦しいことがある度に、新入社員時代を思い返して頑張っています。