人生に絶望していた時期に入ったアルバイトが、後になって役立ったこと
アルバイトとの出会い
高校は、地元で有名な進学校に通っていました。
けれども、レベルの高い周囲との競争に敗れ、挫折してしまいました。
浪人する勇気はなく、適当に受けて運良く合格した大学に、とりあえず進学することとなりました。
高校時代に一通り落ち込み尽くした私は、「心機一転、大学では頑張る」とは思っておらず、完全に開き直っていました。大学で頑張る気はありません。
毎日を抜け殻のように過ごしていました。
これからどうすべきかも分かりません。
人生そのものに対して、絶望していました。
気力のない私を見兼ねたのでしょうか。
そんな事が続いたある日
ある日、母親が、近所のいきつけのパン屋さんに私を連れて行きます。
そこで突然、「ここでバイトしなさい」と、私に言い放ったのです。
母はアルバイトの店員さんにお願いして、店長を呼び出しました。
私は、いきなり面接が始まり、とても緊張したことを覚えています。
面接の結果、人手が足りなかったことを理由に、なんとその場で採用されました。
私は早速、翌週からパン屋さんでアルバイトをすることになります。
パン屋さんでは商品名を覚えることから、品出し、レジ打ちまでやりました。先輩に怒られながらも、日々何とか業務をこなします。
始めは本当にアルバイトが嫌でした。
けれども、真面目な性格から、お客様の前ではミスをしないよう、懸命に仕事を覚えました。
お客様に満足していただけるよう、言葉遣いやさりげない所作も気にかけるようになりました。
気がつくと私は、大学生活の4年間、ずっと同じパン屋さんに勤めていました。最後の方は、アルバイトメンバーの中でも年長になり、教育係も担っていました。
パンの名前は空で言え、品出しの位置は完璧、レジ打ちのスピードも上がっていました。
食パンをカットする機械だって扱えます。
私は大学の卒業を機に、パン屋さんのアルバイトを辞めることになります。
大学を卒業してからは、全く別の業界業種で働きました。
けれども、お客様に対する気持ちは変わっていません。
身につけた経験が活きる
身についた接客テクニックは、意外にも汎用性が高く、色々な場面で大いに活かされています。
お客様に褒めていただけることも多く、私はパン屋さんで働けたことを誇りに思っています。
思えば、あの時、母が無理矢理にでも私をあのパン屋さんに連れて行かなければ、今の私はなかったでしょう。
たかがアルバイト1つですが、アルバイトをしなければ、私はあのまま腐っていたに違いありません。
私は今でも母に感謝しています。